ホーバルメン(Höhbalmen) 最高点2701m 歩8時間
2013年8月10日(土) 快晴
Höhbalmenは三度目の訪問になりますが、今回はじめて雲一つない絶好の晴天に恵まれました。
一度目(2011年)は終日曇って4000m峰は全く姿を表さず。
二度目(2012年)は多くの4000m峰を望むことができましたが、Matterhornの頂上だけは姿を表してくれませんでした。
このため今回は万感の思いを胸に秘めた山歩きになりました。
Hotel Trift に着くとホテルのご主人が笑顔で私たちに握手を求めてこられました。
過去2回の来訪を覚えていてくれたそうです。とてもうれしい。
そこで、最初の年と同じメニュー(アップルパイと紅茶)を注文することにしました。
この日、ご主人は忙しく来訪者のもてなしに追われていました。
残念だけど今回は個別での会話や特別のサービスは期待できません。
だけど、チェックのときに「幸せか?」と聞いてくれる心遣いは変わりません。
私たちにとって何度でも訪問したくなる場所であり、会いたくなる人であります。
コースタイム
歩き:
ホテル出発9:00 → Trift方面への分岐9:12→ Alterhaupt Hotel Edelweis 1961m
10:-00 → Hotel Trift 2337m 11:05 / 11:50 → Höhbalmenstafel 2620m 12:40
/ 12:55 → Schwarzläger 2741m 13:33 → Arben 2546m 14:38
→ Arbenbachfall 2216m 14:43 → Zmutt 1936m 17:10
→ Winkelmatten 1614m 17:45
地形図
LANDESKARTE DER SCHWEIZ 1:25000 ZERMATT, MATTERHORN
難易度 (Difficulty)
T2 (mountain hiking)
GPSトラック
A track of GPS
LOCOSYS GT-31 を利用してGPSのトラッキングに初めて挑戦しました。
国内で試した時は大丈夫だったのですが、今回はGPSデータの一部欠損と誤りがあります。
次回の課題とします。表示は取得したGPXファイルをOpenStreetMap上にプロットしています。
ルートの概要と写真
このルートはZermatt市街地の中から始まります。
入り口は少々目だちませんが、Hotel POST対面の商店GrampiとCentralに挟まれた三ツ門を入ります。
この路地はすぐに登り坂となっていて、数メートル先の右手に写真のような鼠返しの住宅があります。
この住宅の前を通り過ぎると分かれ道に差し掛かります。
これを左側の道に進んで行きます。
ホテルや別荘が立ち並ぶ小路をじぐざぐに登って行くと、すぐにMatterhornやMischabel山群が望めるようになります。
朝のMischabel山群
右ら左に向かって、Täschhorn 4490m、Dom 4545m
さらに高度を上げていくと、道は牧草地にさしかかり、左の下の方に、白い大きな十字架が見え、進行方向には谷が迫ってきます。
右手に見える岩壁のそばまでくると、標識の立つ分かれ道に差し掛かりますが、Triftと書かれた方向に進みます。
Trift 谷の下の牧草地
さらに進むと再度、指道標の立つ分かれ道に差し掛かり、Trift方向に行くと道はTriftbachの谷を渡ります。
Triftbachに架かる橋を渡ったところの分かれ道でも指道標があり、Trift方向に進みます。
すると辺りは、松科の大木が生い茂る森となり、じぐざぐに高度を上げていきます。
やがて、大きな岩壁の下に出て、岩壁を大きく迂回するように上に出ると、Hotel Edelweissに着きます。
Hotel Edelweissからは直接 Höhbalmenに登る道もありますが、私たちはTriftへと歩を進めます。しばらくは、Triftbach右岸の小道を谷沿いに進みます。
少しゆくと、大きな岩を回り込み、固定ロープが貼られた場所に出ます。
ここは、固定ロープにつかまって、慎重に歩を進めます。
Trift bach
Triftへの道
やがて、道はTrift bachの流水に近づき、橋を渡り、左岸の道をゆっくり歩いていきます。
しばらくゆくと、前方に白い雪をまとった、ObergabelhornとWellenkuppeが姿を表します。
前回と前々回は7月でしたので、このコース上でエーデルワイスを見かけませんでしたが、今回は8月のため咲いていました。
Trift谷に咲いていた
エーデルワイス
日本と同じ種類(のように見える)マツムシソウも咲いていました。
Trift谷に咲いていた
マツムシソウ
景色を楽しみながら歩いていると、時間の経過を忘れてしまいます。
もう Trift 2337m に到着しました。
私たちはいつもここで大休止して、お茶を楽しみ、トイレを済ませることにしています。
ここのアップルパイは素朴ですが、手作りでおいしい。お勧めします。
Hotel Trift
Hotel Trift前の野外テーブルからは、Trift谷の奥に広がる圏野の絶景を堪能できます。
Triftの絶景
WellenkuppeとTinalRothorn
Hotel Trift 野外テーブルから
すばらしい景色を舞台に、おいしいアップルパイと紅茶をいただきます。
食べ終わると、しばらくしてご主人がおいしかったか、幸せか、聞いてくれます。
このご主人はMatterhornに25回登られた山岳ガイドです。
現在は冬山のガイドとスキーのインストラクタをされているそうです。
十分満足できたところでハイキングを再開します。
コースは上の写真に写っている指道標のところから左に折れ、小川を渡り、Höhbalmenに至るルートです。
これから高度差約300mの登りになります。
Trift bach を渡った所からZermatt方面を眺めた絶景
Höhbalmenへは、最初は花が咲き乱れる原っぱの中を気持ちよく歩きます。
しかし、徐々に傾斜を増し、ジグザグにきつい登りになります。
我慢して歩いていると、目の前にMischabel山群が現れてきます。
Oberrothornの向こうに現れたMischabel山群
急傾斜のジグザグの登りが続きます。
振り返ると、素晴らしい眺めです。
Untergabelhron, Obergabelhorn, Wellenkuppe
急坂を登りきると、Mischabel山群が全貌を表します。
全貌を表したMischabel山群
Höhbalmenの台地から
やがて、Hotel Edelweissへ降る道との分岐点に至ります。
そこは、Monte Rosa, Lyskamm, Breithorn、などのZermattの谷の東側につらなる4000m峰の絶好の展望台です。
Höhbalmenの丘
山上の別天地
Höhbalmenから先、道はMatterhornに向かっていくようになります。
しばらくゆくと、放牧された羊の群れに出会います。この羊たちは、毎年夏、この辺りにいるようです。
放牧された羊の群れ
小さな花がたくさん咲いています。
その中に、日本でもお馴染みの「すみれ」を見つけました。
ビオラ・カルカラタ Viola calcarata
スミレ科
群から逸れた羊さんがいました。
さかんにメーメー泣いています。
私たちは遠くから、しばらく眺めています。
しばらくして、方向がわかったらしく、登山道を私たちの方に走って来ました。
道を譲ってあげると、知らん顔して通りすぎ、少し先で、また泣き出しました。
群れから逸れた羊
道はやがて、Zmutt谷の谷底が見通せる場所にさしかかります。
この先、道幅が少し狭くなり、Untergabelhornの下に広がるガレ場を横切ります。
Zmuttgletscher下部のダム湖
背景は、Dent d’ Herens 4171m
ガレ場をやり過ごした尾根の土手に、アルプス三名花の一つであるエンチアンが咲いていました。
エンチアン Enzian (Gentiana)
リンドウ科
アルプス三名花の一つ
長い道のりでしたが、ようやくHöhbalmenコース最後の展望台に立ちます。
ここから先は、Arben谷の出会いに向けて降りとなります。
来た道を振り返る
道は一気に高度を落とし、谷底のダム湖が間近に見えるようになります。
Arben谷出会い付近から見た
Zmuttgletscherのダム湖
ここには、水力発電所と風力発電所があります。
Arben谷の上部を仰ぎ見ると、Arbengletscherの上部にObergabelhornが見えます。
Arben谷
Arbengletscher、Obergabelhorn
道をZmuttgletscherまで降りきると、ちょっと素敵な小川が流れています。
Arben谷の出会い
Zermattへは、ここからZmutを経て三時間の歩きとなります。単調ですが、景色は良いので、頑張って歩きます。
本稿は、ここで筆を置きます。
おつきあいいただき、ありがとうございました。